小さな決心

2003年12月7日
話し合いは電話で毎日続いています。


彼は大学生だけど、責任を感じて学校辞めるって言っていたけど、それは何か違う気がする。
責任取る、とかってそういうことじゃないと思う。それなら弱った心を支えるとか、そういうことじゃないの?
決まっていた就職もやめる、と言っていました。
それは、彼の決まった就職先が私の親の会社だから。

まぁ確かに黙っていたら顔を毎日あわせるわけではないし、もしかしたら1年に1度も会わないかもしれない。それでもやっぱりいい気はしないと思う。

だから、わたしはそれはそれで彼の選択で自由に決めてもらっていいと思うんだ。

毎日つらかった下腹部の痛みは、妊娠初期で卵巣がつっているからってお医者さんに言われた。
病院から帰って母親にソレを話したら
「そんなことあるの、きいたことない。体がおかしいんじゃないの」って言われてしまった。
今は全くなくなった。
昨日の夜には少なくとも消えていた。
おかげで、なにかに没頭していると、妊娠していることを忘れているくらい。


それでも、手帳の仕事のスケジュールを見ると、今月、いつか休んで手術しにいかなければいけないのか。。と気持ちが落ち込んでしまう。そして、不思議にきりきりとそのときは痛むのだ。


母親とは、話すと必ずいやみを言われて喧嘩になるから、ずっとメールだけだった。
わたしは昨日の夕方、子どもをあきらめることを決意した。
それが、いちばんまわりを不安にさせないこと、そして自分の未来にもいいと思ったから。


この約1週間、毎日彼との電話でわたしは最初は穏やかにしゃべっていても最後はいつも感情的になって泣き出していた。
「子どもが生めなくなったらどうするの?!」
「手術するのはわたしなんだから。」
「一生傷が残るのは女だけなんだよ」

とか、言い返せないようなどうしようもない自分勝手なことばかり言っていた。
エコー写真を見た彼は
「俺は人殺しや。まじ死んでもいいと思ってる。」
って言っていた。
電話で、彼も泣いていた。
何度も何度もごめんね、と謝った。


そういう経過がつらかった。


わたしが引きずらないで
「もう子どもはおろすからいいよ。」
って言えば、これ以上言い争いはおきない。
泣き出すこともない。


本当は今でも赤ちゃんを産みたい気持ちはある。
だけど、生んでからも、本当に幸せに育てられるかと聞かれたら、それは「はい」とは言えない。お金だってどうするの、仕事だってわたしは続けられない。ちゃんと食べさせてやることができないかもしれない。
やっぱり早すぎたんだなって思うことにした。

そう思ったら、だんだん自分の中での心の苦しみも消えていった。
母親にもおろすといったら
「よかったね。」って。
せっかく授かった命を私たちの勝手で見捨ててしまうのは愚かなコトだって十分にわかっています。
それでも、まだ人間の形をしていないお腹の中の子どもに、特別な感情が生まれないうちに、全てを終わらせてしまいたい。
あさって、仕事が休みだから病院にいって、中絶の相談をしようと思います。
今週末には遠くから彼が来る。


今の段階では、赤ちゃんの未来は、たぶんもうない。

ごめんね。
そして、手術をしてからわたしは一人ぼっちでここで仕事ができるか不安で不安でたまらない。
できることならしばらく休職をして、実家で静養したい。


そんな風に思う。

これまでのこと。

2003年12月5日
12月1日、下腹部痛と生理の遅れの心配で最寄の産婦人科に行った。
そしたら、妊娠4週目と告げられた。
正直、子宮の中の映像を見ながら
「はい、これが赤ちゃんね。」
と言われたときには、瞬間的にすごく嬉しかった。
赤ちゃんができた!!
って。


帰り道、どきどきしながらお腹をいたわるようにして歩いて、お腹の赤ちゃんの父である人に電話をした。
私は未婚だ。
大学を卒業してまだ1年もたっていない、社会人。
彼は、遠くに住んでいる。

でも、いわゆる遠距離恋愛ではない。

5ヶ月前に別れた。


それなのに、わたしが気持ちを断ち切れなくて何度も会って貰っていた。


そして、そんなつもりじゃなかったけど、先月、子どもができるようなことをしてしまった。
別れてるのに。

わたしが「やめて」っていう勇気があったらよかったのだと思う。
でも、わたしは彼のことが大好きで、再び付き合ってるようなそういう安心感が錯覚で一瞬でも訪れていた。
だから、拒否なんてできなかった。
正直、子どももできたならそれでいい、って思っていた。


案の定、生理はこなかった。

電話をして
「わたし妊娠してたよ。」
って言ったら相当彼は驚いていた。


そのとき、はじめてわたしは喜びの中に不安を感じた。


医者に「妊娠ですよ。」といわれてから電話で彼とつながるまで、私は赤ちゃんができた!!っていう喜びに包まれていた。
でも、彼と話して、現実に引き戻された。


赤ちゃんは、生まれてこれないかもしれない。


そういう不安が一気に心を襲った。
先の見えない妊娠なのだとわかった。
母親にも同じように電話で告げると
手放しで喜ぶ姿とは程遠かった。


わたしは、誰も知らないこの土地で、先の見えない赤ちゃんと二人で不安を抱えてこの先いきていくことになった。
不安に感じれば感じるほど下腹部がきりきりと痛む。
悩みすぎて流産してしまうのではないかとも思う。

夜になるといいようのない不安が襲い、涙があふれだす。
彼は、わたしが連絡しなければ電話もくれない。


どんなに一人でつらいか、きっとわからないんだろう。
急に遠くに住んでいる女が「妊娠した」って言っても実感がわかないのはわかる。
それでも、もっといたわることができないのか、と思ってしまう。
そうやって相手をふがいなく感じてしまうわたしは心に余裕がないのだ。


今日、ようやく下腹部の痛みはおさまった。
下腹部の痛みはわたしと赤ちゃんの心の痛みみたいに思える。
今の気持ちは、
わたしは赤ちゃんを産んであげたい。
いろいろな、経済的な問題とかあるんだけど、
それよりも、
わたしが愛した人の子どもを産みたい。

そして、わたしはやっぱりこの赤ちゃんの父親である人を愛しているのだ。

この先、どうなるかわからない。
どんなに長くても1ヵ月後には答えが見えていることだけど、
どんな未来になろうとも、こういうことを考えていた、という瞬間を残しておきたい。


それがいちばん後になって考えたらいいことだと思うから。




彩

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